看護過程の授業や実習記録で「ゴードンの11パターン」を使ったアセスメントに取り組んでいると、必ず出てくるのが「機能的パターン」「潜在性の機能障害的パターン」「機能障害的パターン」という3つの分類です。
「この3つの違いがよくわからない」「どれに当てはめればいいか迷う」という学生さんはとても多いです。 この記事では、ゴードンによる看護展開の考え方をもとに、3つのパターンの意味と使い方をわかりやすく解説します。
ゴードンの看護理論とは
マージョリー・ゴードン(Marjory Gordon)は、アメリカの看護理論家で、「機能的健康パターン」という枠組みを提唱した人物です。
ゴードンは、人間の健康状態を11の機能的健康パターンという視点からアセスメントする方法を開発しました。 これは、患者さんを全人的に理解するための枠組みであり、身体的な側面だけでなく、心理・社会・生活・価値観など幅広い視点から情報を収集することができます。
11パターンは以下の通りです。
健康知覚・健康管理パターン、栄養・代謝パターン、排泄パターン、活動・運動パターン、睡眠・休息パターン、認知・知覚パターン、自己知覚・自己概念パターン、役割・関係パターン、性・生殖パターン、コーピング・ストレス耐性パターン、価値・信念パターンの11項目です。
これらの各パターンについて情報収集・アセスメントを行い、そのパターンが「正常に機能しているか」「リスクがあるか」「問題が生じているか」を判断するのが、3つの分類です。
3つのパターンの分類
ゴードンの看護展開では、アセスメントの結果を次の3つに分類します。
機能的パターン=看護問題なし
機能的パターンとは、そのパターンが正常に機能しており、現時点で看護問題がない状態を指します。
たとえば、排泄パターンのアセスメントをした結果、「毎日決まった時間に排便があり、便の性状も正常、本人も問題を感じていない」という状態であれば、排泄パターンは機能的パターンと判断します。
機能的パターンと判断した場合、その項目については看護問題を立案しません。 ただし、アセスメント自体はしっかり行い、「なぜ問題がないと判断したか」を根拠とともに記述することが大切です。
実習記録では「○○パターン:機能的」と記載したうえで、その根拠となる情報と解釈を書くことが求められます。 「問題なし」とだけ書くのではなく、「なぜ問題がないといえるのか」を説明できるようにしておきましょう。
潜在性の機能障害的パターン=リスクあり
潜在性の機能障害的パターンとは、現時点では問題は生じていないが、このまま放置するとリスクが高い状態を指します。
NANDA-Iの看護診断でいう「〜リスク状態」に対応する概念です。 たとえば、「現在は転倒していないが、筋力低下・ふらつき・薬剤の副作用があり、転倒転落のリスクが高い」という場合は、活動・運動パターンが潜在性の機能障害的パターンと判断されます。
潜在性の機能障害的パターンでは、問題が現れる前に予防的な介入を計画することが看護の役割です。 「まだ問題が起きていないから大丈夫」ではなく、リスクを早期に察知して先手を打つ姿勢が大切です。
実習記録では「○○パターン:潜在性の機能障害的」と記載し、なぜリスクがあると判断したかの根拠、リスク要因を具体的に記述します。 そのうえで、リスクに対応する看護診断(例:転倒転落リスク状態・感染リスク状態など)を導き出します。
機能障害的パターン=看護問題あり
機能障害的パターンとは、そのパターンに明らかな問題が生じている状態を指します。
NANDA-Iの看護診断でいう「現在すでに問題が起きている」状態に対応します。 たとえば、「食欲がなく、1日の食事摂取量が必要カロリーの半分以下、体重も減少が続いている」という場合は、栄養・代謝パターンが機能障害的パターンと判断されます。
機能障害的パターンと判断した場合は、その問題に対応する看護診断を立案し、具体的な看護計画を作成します。 問題の原因・症状・影響を整理し、看護介入の方向性を明確にしていくことが必要です。


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3つのパターンの違いをシンプルに整理すると
ここで一度、3つの違いをシンプルにまとめます。
機能的パターンは、今も問題なし、今後も問題が生じる兆候なし、という状態です。 看護問題は立案しません。
潜在性の機能障害的パターンは、今は問題ないが、リスクがある状態です。 予防的な看護介入が必要であり、リスク系の看護診断を立案します。
機能障害的パターンは、すでに問題が生じている状態です。 問題に対応した看護診断を立案し、ケア計画を作成します。
この3段階の区別が、ゴードンを使った看護過程の出発点です。 アセスメントの段階でこの判断を正確に行うことが、適切な看護診断と看護計画につながります。
実習記録でよくある間違い
ゴードンのパターン分類でよく見られる間違いをいくつか紹介します。
まず、情報収集だけで終わり、アセスメント(解釈・判断)が書けていないケースです。 ゴードンの看護展開では、情報を集めるだけでなく、「その情報から何が読み取れるか」を自分の言葉で解釈することが必要です。
次に、機能的パターンに「問題なし」とだけ書いて終わっているケースです。 問題がないと判断した根拠を記述しないと、アセスメントとして成立しません。 「食事摂取量は十分であり、体重も安定しているため、栄養・代謝パターンは機能的と判断する」のように根拠を添えて記述します。
また、潜在性と機能障害的の区別ができていないケースも多いです。 「すでに問題が起きているかどうか」が判断の分かれ目です。 発熱・痛み・食欲低下など、症状がすでに現れている場合は機能障害的パターンです。
ゴードンのパターン分類とNANDA-I看護診断の関係
ゴードンのパターン分類は、そのままNANDA-Iの看護診断につながっています。
機能的パターン→看護診断なし 潜在性の機能障害的パターン→リスク系の看護診断(例:転倒転落リスク状態、感染リスク状態、誤嚥リスク状態など) 機能障害的パターン→問題焦点型の看護診断(例:急性疼痛、栄養摂取消費バランス異常、皮膚統合性障害など)
ゴードンのアセスメントでパターンを正確に分類できれば、看護診断の選択もスムーズになります。 アセスメントと看護診断は切り離されたものではなく、ひとつの流れとして理解することが大切です。
ウェルネス型看護診断について
ゴードンの枠組みでは、上記3つに加えて「ウェルネス型」という分類もあります。
ウェルネス型とは、現在の機能が良好であり、さらに高い健康水準に向かう可能性がある状態です。 たとえば、「母乳育児を意欲的に行っており、さらに継続・促進できる状態にある」場合などが該当します。
NANDA-Iでは「〜促進準備状態」という形の看護診断がウェルネス型に対応します。 実習で扱う機会は多くないかもしれませんが、存在を知っておくと看護の幅が広がります。
まとめ
ゴードンの看護展開における3つのパターン分類を整理すると、機能的パターンは問題なし、潜在性の機能障害的パターンはリスクあり、機能障害的パターンは問題ありという判断基準で区別します。
この分類をしっかり理解することが、アセスメントから看護診断・看護計画へとつながる看護過程全体の流れをつかむ第一歩です。
実習でゴードンのアセスメントに取り組む際は、「今問題が起きているか」「リスクがあるか」「問題なしといえる根拠は何か」の3点を意識しながら記録を書いてみてください。
この記事が、ゴードンのパターン分類で悩んでいる看護学生さんの参考になれば幸いです。








