病態
収縮期と拡張期の血圧が上昇する動脈系小血管の異常状態である。世界保健機構(WHO)の基準では高血圧とは収縮期血圧が160㎜Hg以上、拡張期血圧が95㎜Hg以上のものと定義されている。(血圧にかなり個人差があり、必ずしもこの定義と一致するとは限らない。)
分類
高血圧は大きく本態性高血圧と二次性高血圧とに分類される。本態性高血圧は原因疾患が明らかでないものをいい、二次性高血圧は原因疾患が明らかなものをいう。二次性高血圧には腎性高血圧(腎実質性高血圧、腎血管性高血圧)、内分泌性高血圧(褐色細胞種、原発性アルドステロン症、クッシング症候群)、妊娠中毒症、心・血管性高血圧、中枢神経性高血圧がある。
症状
格別症状がないことが多い。長期に高血圧が持続した場合は、心機能低下により坂道や階段などで呼吸困難を自覚したり、腎機能低下による夜間多尿がみられる。また本態性高血圧の初期や経過中に、拡張期血圧の著しい上昇があり、眼底に乳頭浮腫、網膜の出血、白斑が出現し、このような悪性期には頭痛、悪心、食欲不振が生じてくる。
検査・診断
問診(家族歴、既往歴、生活習慣など)、視診、聴診(腹部の血管雑音、心雑音など)、心電図、心エコー検査、血液検査(電解質、コレステロール、BUN、レニン、アルドステロン、カテコールアミン、コルチゾール)、腎機能検査、胸部X線検査、CT、MRI、尿検査(蛋白、糖、沈査)、眼底検査、シンチグラフィー
治療
治療の目的は血圧を下げることによって心血管病の発病を防止することにある。そのため長期治療が必要である。
1.非薬物療法
生活の調整、食塩摂取の制限、禁煙、多量の飲酒を避けるなど高血圧のリスクファクターを生活から除去していく。
2.薬物療法
高血圧 1.利尿剤、2.αまたはβ受容体遮断剤、3.交感神経抑制剤、4.血管拡張剤、5.アンギオテンシン変換酵素阻害剤のいずれかを選択し、単剤で少量より投与し、効果がなければ組み合わせて併用する。