病態
- 統合失調症は思考、感情、行動を統合する能力が障害された慢性心疾患である。
- 症状として幻覚などの『陽性症状』と意欲低下、自閉などの『陰性症状』に分けて考えるのがわかりやすい
- 幻覚、妄想などの陽性症状についてはドーパミン伝達の過剰により幻覚・妄想などが引きおこされると考えられている
- これに対して意欲の減退、活動性の低下、自閉などのいわゆる陰性症状のメカニズムは複雑で、精神薬理学的にグルタミン酸受容体をはじめ、さまざまな神経伝達物質の関与が考えられるが、困難な社会生活状況から自己防衛しているなどの心理的側面も無視できない
- 病前性格はもともと人付き合いをそれほど好まず従順で控えめで反抗期もないなどの内向的な性格が多い反面、努力家で外交的な性格を認めらるが、総じて対人関係をはじめとした社会生活技能が拙劣である。
- 発症のピークは10代後半から20代
- 仕事、学業、恋愛、対人関係の問題で再発しやすい
症状
- 症状のはじめには周囲との接触や意思の疎通がスムーズでないか、また、失われて周囲より浮いた感じを持つ。他者からは人格が変わったように思われ、自ら『病気ではないか?』などと思い受診することもある
- 慢性期になると不隠や衝動行為は目立たなくなることも多い。無為、自閉的、荒廃状態へと進行する
- その他の一次妄想では被害妄想や関係妄想が多く、次いで誇大妄想や血統妄想、心気妄想などがみられる。幻覚もよく見られる症状で言語幻覚が多く、時には体感幻覚もある
- 表情、しぐさなどに不自然なものや不安、興奮、強い拒絶、常同などの状態が観察される。
- 自我障害もみられ、とくに『他者から指示される』という患者の訴えに多い、作為体験はこれである
- 陽性症状・・・・幻覚、妄想、思考障害
- 陰性症状・・・・慢性の意欲の低下、感覚鈍麻、自閉
診断・検査
- 頭部検査:特徴として言われているのは側脳室の拡大や側頭葉の萎縮などである
- 前頭葉の脳血流の低下や機能低下、そのほか認知や神経心理学の検査で記憶注意力、判断力、物事の段取りなどの障害も明らかにならない事が多い
- これらは仕事など社会生活に戻る際に適切な判断、行動が取れないためにトラブルとなったり、再発を起こすなどの問題に関与している
治療
薬物療法
- 抗精神薬を投与する
- 幻覚・妄想などのいわゆる陽性症状を改善するためにはドーパミン受容体の遮断が有効である
- 無気力、自閉などの陰性症状には十分効果がある抗精神病薬はまだない
心理社会療法
- 薬物療法だけでは十分ではなく、家族教育、社会技能のトレーニング、職業訓練などさまざまな生活支援が必要な場合も多い
電気痙攣療法
- 薬物療法で幻覚・妄想の改善が不十分だったり、自殺企図などの問題行動が管理できなかったりするときには電気痙攣療法で行う
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