透析とは
透析とは、半透膜(血液透析では合成膜、腹膜透析では腹膜)を介して溶質(老廃物や電解質)が移動する現象である。透析治療ではこの原理に基づき、不全状態に陥った腎臓の機能を代行し、透析器あるいは腹膜を介して老廃物や過剰な水・電解質を取り除き、体液を浄化する。
透析療法には大きく分けると血液透析(HD)と腹膜透析(PD)の2種類がある。
これらの透析療法は急性腎不全、慢性腎不全の治療に主として用いられるが、その他に高K血症や高Ca血症の緊急治療としても用いられることがある。
打撲、交通事故などによる急性腎不全の場合には緊急透析(急性透析)を必要とする。緊急透析は血清Kが高値になり致死的不整脈(心房細動)が起こるのを防ぐためと、BUNなどが急激に上昇し尿毒症症状が著名になったときに行う。
維持透析(慢性透析)が必要な場合、は慢性腎不全が徐々に進行し、生体が恒常性を保てなくなった状態で開始する場合と、急性腎不全が回復せずにそのまま維持透析に移行する場合とがある。
慢性腎不全透析導入基準は臨床症状、血清Cr濃度、日常生活障害度を参考にして総合的に判断する。
生命の危険を考えると、あまりぎりぎりまでの透析の開始を遅らせるよりも、必要ならば早めに導入したほうが生命予後はよいと考えられている。
透析治療で注意しておきたいことは、透析治療は腎臓の機能を代行するものではあるが、完全には正常腎機能を代行することはできないこと、腎機能のうち代行できないものがあるということである。
目的
透析療法の重要な目的はまず患者の生命を維持することであり、次にその質を向上させることであり、以下の4点にまとめられる。
- 尿毒症による高カリウム血症、心不全、肺水腫などによる急性の死を阻止する。
- 腎不全に付随する貧血、高血圧、痒み、便秘、骨合併症などの合併症をコントロールし、健康体に近づける。
- 体調を改善し、食べられる・眠れる・歩けるようにし、家族復帰、社会復帰を可能にする。
- 仕事、趣味、旅行、家族との交わりなど生きる喜び、楽しみ、生甲斐を感じられるようにする。
血液透析
血液透析とは尿毒素に汚染された血液を体外に導き、人工腎臓と呼ばれるダイアライザーの装置に一定量のその血液を送り、血液の中の老廃物を取り除き、余分な水分を除去し、電解質(ナトリウム、カリウム、カルシウム、リン)の濃度を調節し、血液pH(酸-アルカリ性)を改善し、血液をきれいにして体内に戻す方法である。
血液透析を行う場合、比較的大量の血液(1分あたり150~250mlぐらい)を毎回、確実にかつ安全に透析回路に送らなければならない。透析回路に十分な血液を送り込むために血液を取り出しやすくした部分を総称してブラッドアクセスと呼んでいる。ブラッドアクセスには永久的なアクセスとして、内シャント、動脈表在化、人工血管があり、一時的なアクセスとしてカテーテルがある。
コメントをどうぞ ※匿名可