ヘンダーソン14の項目、看護過程、看護理論が難しくて悩んでいる看護学生さんや看護師さんは多いかと思います。
そんな看護師さんのために、そもそもヘンダーソンの看護理論がなぜ生まれたのか、何のためにできたのかというところを解説していきたいと思います。
ヘンダーソンの看護理論を知るにはまずヘンダーソンという人物を知らなければなりません。
ヘンダーソンは理論家というよりはむしろ実践の人でした。
彼女はなぜそのような実践の看護を理想としたのでしょう?
代表的な著書の中から,大きく三つの内容に分類していくつかのキー・センテンスを見つけることができましたのでここでご紹介します。
第1は患者(人間)についてです。
「人間は無限に多様な生活様式をもっている」ために,相手を完全に理解することは難しいというよりむしろ不可能です。
そのことについて看護師は謙虚でなければならりません。
ヘンダーソンは看護師にできるのはただ,
「看護師自身が考えている意味ではなく,看護を受けるその人にとっての意味における病気からの回復,その人にとっての意味におけるよき死,に資するようにその人が行動するのを助けること」
であると述べています.
しかし同時に
「自分が看護している人との間に一体感を感じることのできるのは,優れた看護師の特性である」
と述べ,“患者の皮膚の内側に入り込む”(“inside the skin” of each patient)ことの大切さを記しています。
患者の要求は個別的であり,日々同一ではありません。
看護者はヘンダーソンが主張するこの視点に注意を払い看護に取り組むといいでしょう。
第2は患者との人間関係の重視です。
ヘンダーソンは
「患者と看護師の両方が問題を確認して初めてそれに取り組む姿勢ができるのである」
と述べています。
その関係を維持・発展させるためにはどうすればよいのか?
彼女は高度な教育を受けた看護師がベッドサイドケアを他の職種に委託して,自分はその他の業務に就くことをよしとしませんでした。
つまり、一見雑用であるベッドメイキングもヘルパーに任せず看護師がやれと。
看護師-患者間の人間関係の成立には信頼関係が欠かせない。
信頼関係なくして看護は成立しないというわけです。
言い換えれば,ベッドサイドケアは信頼関係を構築するための重要な手段でもあるということ。
これはヘンダーソンが理論家,教育者といわれるよりもむしろ実践家でありたいと述べた大きな理由です。
第3は科学性(研究活動)の重視です。
「看護がその程度はともかくとして一つの科学であるならば,看護は科学の特性をもつ探究方法を用いなければならない」
と主張するヘンダーソンは、すべての看護者は研究者であると述べています。
彼女は臨地でこつこつとすばらしい看護を展開している名もない看護師とその看護を高く評価していました。
そのような看護師が研究することでさらに自己の看護に磨きをかけることが大切と言っているのです。
研究は一部の特権階級の独占物ではありません。
ヘンダーソンの看護研究に関する言及は,近年の看護界への警鐘でもあるような気がしてなりませんね。
最後につけ加えておきたいことは、
ヘンダーソンが
「私は自分の見解がそのまま読者にうけいれられると期待してここに提示するのではない.私としてはむしろ看護師の一人一人がそれぞれ看護についての自分の概念を発展させていってほしいと強く願うものである」
と述べていることである.
彼女は看護を一人ひとりの独立した看護師が自分自身で感じ自分自身で考え、自分自身で行うことを理想と考えたのです。
まとめ
ヘンダーソンは患者の自己回復を助けるための看護を実践し、患者と信頼関係を結ぶことでより良い看護につなげ、さらに研究をする。
そんな人物だということがわかります。
また、ヘンダーソンの看護過程はそういったものを総まとめにして理論化するためのものであるということも見えてきたと思います。
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