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看護師・看護学生のための高圧浣腸完全ガイド ~基本から実践までやさしく解説~

この記事は約6分で読めます。
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はじめに

高圧浣腸は、看護師の基本的な技術の一つです。この記事では、高圧浣腸の目的から具体的な手順、そして注意点まで、初めての方でも安全に実施できるよう、分かりやすく説明していきます。

高圧浣腸って何のために行うの?

高圧浣腸は、お腹の中の便を出しやすくするための処置です。主に、S状結腸(おしりに近い腸)やそれより奥にたまった便を出すために行います。また、大腸の手術や内視鏡検査の前に、腸の中をきれいにする目的でも使われます。

普通の浣腸と違って、より多くの量の液体を使うため、腸の奥の方まで効果があります。でも、その分だけ注意も必要になってきます。

高圧浣腸で使う液体について

高圧浣腸で使う液体は、主に微温湯(人肌程度に温めた水)や生理食塩水です。量は50mlから1500mlまでで、目的によって変わります。例えば:

  • 150mlならS状結腸まで
  • 500mlなら下行結腸まで
  • 1000mlなら横行結腸まで

届きます。大切なのは、液体の温度です。体温よりもやや高めの41~42度に設定します。温度が高すぎると腸を傷つけてしまい、低すぎると血圧が上がってしまう可能性があるからです。

準備するものを確認しよう

高圧浣腸を行うときは、まず必要な物品をしっかり準備します。足りないものがあると、途中で取りに行かなければならず、患者さんに負担をかけてしまいます。

必要な物品は以下のようなものです。まず、高圧浣腸セット(イリゲーターという容器とゴム管、カテーテルがセットになったもの)を用意します。それから、カテーテルを滑りやすくするための潤滑油(オリーブ油など)、ガーゼやティッシュ、ベッドを濡らさないためのゴムシーツ、適温の微温湯、便器、イリゲーターを吊るすスタンド、クレンメ(ゴム管を止めるための器具)、そして寒くないようにするための綿毛布が必要です。

具体的な手順を覚えよう

高圧浣腸の手順は、「準備→実施→後片付け」の3つの段階に分けられます。

まず準備段階では:

  1. しっかりと手洗いをします
  2. カルテで医師の指示を確認します
  3. 微温湯を41~42度に温めます
  4. 患者さんに処置の説明をして、事前にトイレに行ってもらいます

次に実施段階では:

  1. ベッドにゴムシーツを敷き、患者さんを左側臥位(左を下にして横向き)にしてもらいます
  2. イリゲーターをスタンドに掛け、肛門から40~50cm高い位置に設定します
  3. カテーテルにしっかり潤滑油を塗ります
  4. カテーテルを6~10cm程度、やさしく挿入します
  5. ゆっくりと(100mlを1分くらいの速さで)液体を注入します

実施中の大切なポイント

高圧浣腸を実施している間は、患者さんの様子をよく観察することがとても重要です。特に以下のような点に注意を払います。

顔色や表情の変化を見ます。痛みがある時は顔がゆがんだり、冷や汗をかいたりすることがあります。また、「お腹が張る」「痛い」といった訴えがないか注意を払います。もし患者さんが痛みを訴えたら、すぐにクレンメで液の注入を止め、しばらく様子を見ます。

また、注入のスピードは、あまり速すぎても遅すぎてもいけません。速すぎると腸が急に広がって痛みの原因になりますし、遅すぎると血圧が上がったり、腹痛が起きたりする可能性があります。目安として、500mlの液体を5分程度かけてゆっくり注入します。

処置が終わってからのケア

液体を注入し終わったら、以下のような手順で処置を終えていきます。

まず、カテーテルを抜く前に、クレンメで液体の流れを止めます。カテーテルは、ティッシュで押さえながらそっと抜きます。抜いた後は、患者さんに5~10分程度便意を我慢してもらいます。これは、液体が腸の奥まで行き渡るのを待つためです。

便意を我慢できなくなったら、患者さんをトイレまで案内するか、ベッド上で便器を使用してもらいます。この時、急に立ち上がると気分が悪くなることがあるので、ゆっくりと体位を変えてもらうことが大切です。

注意が必要な患者さんについて

高圧浣腸を行う前に、特に注意が必要な患者さんがいることを知っておきましょう。

まず、心臓が悪い患者さんの場合です。腸に液体が入ることで血圧が変動しやすくなります。また、便を我慢する時にいきむことで、心臓に負担がかかる可能性があります。このような患者さんには、医師に確認してから、少なめの液体量で実施することが多いです。

次に、お腹の手術をしたばかりの患者さんです。手術の傷が完全に治っていない時期に高圧浣腸を行うと、傷が開いてしまう危険があります。手術後どのくらい経ってから実施できるかは、医師に必ず確認しましょう。

また、痔核(いわゆるいぼ痔)がある患者さんも注意が必要です。カテーテルを入れる時に痛みを感じやすく、出血することもあります。このような場合は、特に丁寧にカテーテルを挿入し、患者さんの様子をよく観察する必要があります。

よくある質問と対処方法

高圧浣腸を行う時に、よくある疑問や問題について説明します。

「液体を注入中に患者さんが痛みを訴えたらどうすればいいですか?」
→すぐにクレンメで液の注入を止め、患者さんの様子を見ます。しばらくして痛みが落ち着いたら、もう少しゆっくりとしたペースで再開します。痛みが続く場合は、医師に報告して指示を仰ぎましょう。

「カテーテルを入れる時に抵抗があったらどうすればいいですか?」
無理に押し込まず、一度カテーテルを抜いて、角度を変えて再度挿入を試みます。それでも入らない場合は、医師に報告してください。

処置後の観察と記録のポイント

高圧浣腸が終わった後も、患者さんの状態をしっかり観察することが大切です。

まず、排便の状態を確認します。どのくらいの量の便が出たか、便の性状(固さや色)はどうだったか、出血はなかったかなどを観察します。これらの情報は、処置が効果的だったかを判断する大切な情報になります。

また、腹痛や吐き気、めまいなどの症状がないかも確認します。特に高齢の患者さんは、処置後にふらつきが出ることがあるので、しばらくの間は様子を見守りましょう。

使用した物品の後片付け

高圧浣腸で使用した物品は、感染予防の観点から、適切に処理することが重要です。

使用したイリゲーターセットは、まず熱湯でよく洗います。次に消毒液に浸し、その後よくすすいで乾燥させます。カテーテルは単回使用のものは廃棄し、再使用可能なものは消毒して保管します。

ゴムシーツや綿毛布は、汚れていないかよく確認して、必要に応じて洗濯に出します。使用した便器は洗浄・消毒を行い、次の使用に備えます。

まとめ~安全な高圧浣腸を目指して~

高圧浣腸は、基本的な看護技術の一つですが、患者さんの安全と安楽を第一に考えて実施することが大切です。

新人看護師さんや看護学生さんは、最初は不安を感じるかもしれません。でも、この記事で説明した手順とポイントを一つずつ確認しながら実施することで、安全に処置を行うことができます。

また、分からないことがあれば、必ず先輩看護師に相談しましょう。経験豊富な先輩からアドバイスをもらうことで、より安全で効果的な処置ができるようになります。

患者さんに安心して処置を受けてもらえるよう、これからも技術の向上に努めていきましょう。そして、一つ一つの経験を大切にしながら、確実な技術を身につけていってください。

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